領収書の但し書きは、「何の代金を受け取ったのか」を示す欄です。ここが曖昧だと、お客様が経費として処理できなかったり、税務調査で説明を求められたりすることがあります。この記事では、但し書きの基本ルールと、自動車整備・車検・鈑金・車両販売の現場でそのまま使える記載例をまとめます。
但し書きとは何か
但し書きは、領収書の「但し ◯◯として」の部分です。取引の内容を示す項目で、インボイス制度(適格請求書等保存方式)でも取引内容は必要な記載事項の一つとされています。金額と日付だけでは、何に対する支払いか分からないため、証憑として不十分になってしまいます。
「お品代として」がNGとされる理由
「お品代」はよく使われますが、次の理由から避けるべき書き方です。
- 何を買ったのか分からず、経費の内容を証明できない
- 税務調査で「実態が不明」と判断され、否認されるリスクがある
- 軽減税率対象の有無が分からない
- お客様側で勘定科目を決められない
お客様から「お品代でお願いします」と言われることもありますが、内容を具体的に書いたほうがお客様のためにもなります。「経費処理でご不便がないように、内容を記載させていただきますね」と一言添えれば、多くの場合ご納得いただけます。
自動車業界での但し書き記載例
| 取引 | 但し書きの記載例 | 補足 |
|---|---|---|
| 車検 | 車検整備代として | 登録番号を併記するとより明確 |
| 法定12か月点検 | 定期点検整備代として | |
| 一般修理 | 自動車修理代として | 修理箇所を添えてもよい |
| 鈑金塗装 | 鈑金塗装代として | 保険修理の自己負担分はその旨を記載 |
| 部品販売 | 自動車部品代として | 品名を添えると親切 |
| オイル交換 | エンジンオイル交換代として | |
| タイヤ交換 | タイヤ代及び交換工賃として | 物品と役務が混在する場合 |
| 中古車販売 | 中古自動車代金として | 車台番号の一部を併記すると照合しやすい |
| 手付金・内金 | 中古自動車代金の内金として | 「内金」「手付金」と明示する |
| 代車料 | 代車使用料として | |
| 納車・引取 | 納車引取費用として | |
| 保険料の預り | 自賠責保険料として(預り金) | 課税売上と分けて記載 |
登録番号(ナンバー)を書くと役立つ理由
自動車業界ならではの工夫として、但し書きに車両の登録番号を添える方法があります。
- お客様が複数台を管理している場合、どの車の費用か一目で分かる
- 法人のお客様は、車両ごとの経費管理がしやすくなる
- 自社側でも、後から照会があったときの特定が早い
例:「車検整備代として(品川300 あ 12-34)」
複数の内容が混ざる場合の書き方
1回の会計に車検・部品・代車料などが混ざることは珍しくありません。次のいずれかで対応します。
代表的な内容+「他」でまとめる
例:「車検整備代他として」。もっとも簡単ですが、内訳が分からないため、明細書や請求書を併せてお渡しするのが望ましい形です。
主要な項目を並記する
例:「車検整備代・自動車部品代として」。金額の大きいものから並べます。
明細と組み合わせる
領収書に「明細書のとおり」と記載し、明細を添付する方法もあります。インボイス制度では、複数の書類の相互関係が明確であれば、あわせて記載事項を満たす形も認められています。
税率が混在するときの注意
自動車整備・車両販売の売上は、通常10%の標準税率です。ただし、預り金・立替金(自動車重量税、自賠責保険料、リサイクル料金、検査登録手数料など)は課税対象外のため、課税売上と分けて表示する必要があります。すべてを一括して「10%対象」としてしまうと、お客様側の経理処理が誤ってしまいます。
但し書きを空欄で渡してはいけない理由
「あとでご自分で書いてください」と空欄のまま渡すのは避けてください。
- 書き換えられるリスクがある(実態と異なる経費計上に使われる可能性)
- 発行者としての記録と食い違いが生じる
- 不正の手助けと見なされるおそれがある
宛名についても同じ考え方です。詳しくは領収書の宛名の書き方をご覧ください。
電子領収証なら但し書きも自動で残る
手書きの領収証では、担当者によって書き方がバラバラになりがちです。業務システムから発行する電子領収証であれば、入金処理の内容にもとづいて但し書きが記載され、発行履歴にも同じ内容が残ります。後から「あの領収証、何て書いたっけ?」と探す必要もありません。
よくある質問
但し書きは後から修正できますか?
お渡し済みの紙の領収書を書き換えるのは避け、回収したうえで正しい内容で発行し直すのが原則です。電子領収証であれば、履歴を確認しながら正しい内容で発行し直せます。
「代金として」だけでもよいですか?
「お品代」と同様、内容が特定できないため望ましくありません。せめて「整備代として」「部品代として」と業務内容が分かる表現にしてください。
但し書きに消費税額を書く必要はありますか?
但し書き欄に書く必要はありませんが、領収書全体としては税率ごとに区分した金額と消費税額の記載が必要です(インボイス対応の場合)。
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